超訳徒然草 第175段

雑記

ども、チェスです。最近になって徒然草の魅力に取り憑かれてしまい、しまいには自分風に現代語訳までしたくなってきたので今回から少しずつ訳して行こうと思います。

で、記念すべき1回目は、175段に決めました。

175段は酒呑み必読の回と言えます。お酒が好きな方は是非とも読んでってください。

では、現代風超訳いってみます!

第175段

世の中どーなってんだよ。おかしいだろクソが。

やたらと飲め飲め〜もっと飲め飲め〜って

無理に飲ませて楽しもうとするヤツってなんなんだよ?

わけわかんねーよ。

嫌がって逃げてんのに無理やり飲ませたりすりゃ

ベロベロに酔っ払って叫んだり暴れたりぶっ倒れたりメチャクチャになったりするだろ。

やめてやれよ。

それが祝いの席とかだったら最悪だろ。

次の日は2日酔いで頭は痛いし物も食えなくなるし起きあがるとツラいし記憶飛んじゃってるし仕事も無理、遊びも無理でマジでロクな事ねー。

無理に飲ませてこんな目に合わせるヤツ、マジ非道。

そんなことしてると恨まれるよホント。

外国の人が聞いたらとんでもねーハラスメントがまかり通ってる野蛮なヤツらだなって言うよきっと。

自分がされるんじゃなくても、人がそうやって無理に飲まされてるのを見るのも嫌だ。

いつもはクールでスマートな感じの人でも、酔っ払った挙句ゲーラゲラ笑ってベーラベラ喋ってうるせ〜わ帽子はズレちゃってるわベルトは緩めてるわ裾捲れちゃってスネ毛ワッサーっなってて、ダサすぎてこんな人だったっけ?って思っちゃう事もある。

女もさ、前髪をファサッっとかやっちゃったりして可愛くもねードヤ顔でゲラゲラ笑ってベタベタ触ってきたりして、ヒドいのになるとアーンとか言ってツマミ食わそうとしてきたり、そのまま自分で食っちゃったり、可愛くねーっつーの。

バカ騒ぎして歌いまくって踊り狂った挙句、その辺のおっさんとかと意気投合しちゃったりして、そのおっさんが脱ぎ出して薄汚ねー肌とか見せながらキモい動きで笑わそーとしてきたり、それでウケちゃってるヤツらもマジでウザい。

で、延々と自慢話ばっかしてくるヤツとか、いきなり泣き出すヤツとか、ふっかけて揉めごと起こすヤツとかもう寒過ぎて怖い。さっぶ。こっわ。関わるなよホンマ。オレに関わるな。

恥さらして面倒事まき散らした挙句、物盗んだり階段から落ちて怪我したり飲酒運転して事故ったりするのとか、フラッフラでその辺うろついてあちこちでゲロ吐いたり出すもん出したりすんのとか、偉そうなジジイが若者に訳わかんねーことブツクサ言ってたりすんのとか全部サイアク。消えろや。

こんなザマでもさ、酒飲む事が現世なり生まれ変わった来世なりに役立つならまだ仕方ないと思えるけどさ、そうじゃないじゃん。酒飲んでもロクな事ないじゃん。マジで。やらかす事は増えるし金は減るし身体壊すしさ。酒は百薬の長なんて言うけどさ、むしろ酒が万病の元じゃね?

ツラい事を忘れたくて飲んでるのに、昔のツラかった事とか思い出して泣いてる本末転倒なヤツとかいるじゃん。

生まれ変わった来世でもさ、人間なんて酒飲んだら一緒だよな。前世で頑張ったいい事とか全部無くなるまでバカやっちゃうでしょ。で、悪い事ばっかして地獄に落ちんだよ。

お釈迦さまだって「人に酒を無理強いするようなヤツは500回生まれ変わる間、そんな事ができないようにして生まれさす」って言ってるよ。

こんな風に酒マジ最悪、悪でしかないって思うんだけど、なんでかな、いい時もあるんだよ。例えばさ、

月の夜

雪の朝

満開の花

とか見ながら誰かと心穏やかに語り合ってるとして、そんな時はさ、酒があったら最高だよね。うん。そんなときの酒に代わるものなんて無いくらいにさ。

あと、何もする事がなくてつまんねー時に急に友達から連絡きて遊ぶ時とかにさ、何となく酒飲むのとかもいいよな。

顔とか見ちゃいけないくらい偉い人が、すだれの下から果物とか酒とかを品のある感じで差し出してくれるのとかもいいな。

冬に気の置けない友達とコタツで鍋とかつつきながらゆっくり酒を飲み続けるのとかもいいね。

旅先の旅館の部屋とかキャンプしてる時の芝生の上とかで友達と「何かツマミが欲しいよなー」なんて言いながら飲むのもいい。

酒が嫌いって言ってるヤツが、雰囲気でちょっとだけ飲んじゃうのとかもいいな。

普段はまともに話せないような偉い人が飲み会で「あんまり飲んでないね。もうちょっと飲むかい?」なんて声かけてくれるのとかも嬉しい。

話してみたかった人が酒好きで、飲みながら仲良くなってくのとかもやたらと嬉しいよね。

色々言ったけどさ、酒好きなヤツに悪いヤツはいないんだよ。そう、飲んだヤツに罪があるわけじゃないっつーかさ。

酔い潰れて人んちの前で寝ちゃった酔っ払いがさ、朝になってその家の人が出てくる物音で目が覚めたりしちゃったりして、うわヤベェ!って感じでその場から逃げてくんだけど、頭ボサボサで服とかはだけちゃってるし、めくれちゃったズボンの裾からスネ毛とかが見えちゃってるその後ろ姿とか見ると笑えてきちゃって憎めないっつーかさ、これこそ酔っ払いのあるべき姿だよなぁ、なんて思ったりするよ、ホント。

感想

言いたい放題言いまくるのに、最終的には上手い感じで終わるのがスゴい。これが達人の物言いなのかと思わされてしまった。どこまで狙ってどんな意図で書いたのか作者にインタビューしてみたい。それにしても自分なりに訳してみて良かった。鎌倉時代の書き物だという事を忘れてしまいそうになる感覚を味わえて楽しかった。人の暮らしとか酒の付き合いとかって、本質的なところではあんまり変わってないのかもなーとか思いました。

前半は嫌な飲み会の翌日に2日酔いの時に書いて、後半は友達と楽しく飲んだ後に書いたんじゃなかろうかってくらいの切り返しが生み出す絶妙な空気感が好きです。

引用

世には心得ぬ事の多きなり。ともあるごとには、まづ酒をすすめて、強ひ飲ませたるを興とする事、如何なるゆゑとも心得ず。飲む人の顔、いと堪へがたげに眉をひそめ、人目をはかりて捨てんとし、逃げんとするを、捕へて、ひきとどめて、すずろに飲ませつれば、うるはしき人も、忽に狂人となりてをこがましく、息災なる人も、目の前に大事の病者となりて、前後も知らず倒れ伏す。祝ふべき日などは、あさましかりぬべし。あくる日まで頭いたく、物食はず、によひふし、生を隔てたるやうにして、昨日の事覚えず、公私の大事を欠きて、煩ひとなる。人をしてかかる目を見する事、慈悲もなく、礼儀にもそむけり。かく辛き目にあひたらん人、ねたく、口惜しと思はざらんや。人の国にかかる習ひあなりと、これらになき人事にて伝へ聞きたらんは、あやしく不思議におぼえぬべし。

人のうへにて見るだに心憂し。思ひ入りたるさまに、心にくしと見し人も、思ふ所なく笑ひののしり、詞多く、烏帽子ゆがみ、紐はづし、脛高くかかげて、用意なき気色、日来の人とも覚えず。女は額髪はれらかにかきやり、まばゆからず顔うちささげてうち笑ひ、盃持てる手に取りつき、よからぬ人は肴取りて口にさしあて、自らも食ひたる、さまあし。声の限り出して、おのおの歌ひ舞ひ、年老いたる法師召し出されて、黒くきたなき身を肩抜ぎて、目もあてられずすぢりたるを、興じ見る人さへ、うとましく憎し。あるは又、我が身いみじき事ども、かたはらいたく言ひきかせ、あるは酔ひ泣きし、下ざまの人は、罵りあひ、いさかひて、あさましくおそろし。恥ぢがましく、心憂き事のみありて、はては許さぬ物どもおし取りて、縁より落ち、馬・車より落ちて、あやまちしつ。物にも乗らぬきはは、大路をよろぼひ行きて、築土・門の下などに向きて、えもいはぬ事どもしちらし、年老い、袈裟かけたる法師の、小童の肩をおさへて、聞えぬ事ども言ひつつ、よろめきたる、いとかはゆし。

かかる事をしても、この世も後の世も益有るべきわざならば、いかがはせん、この世にはあやまち多く、財を失ひ、病をまうく。百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそおこれ。憂忘るといへど、酔ひたる人ぞ、過ぎにし憂さをも思ひ出でて泣くめる。後の世の人は、人の知恵をうしなひ、善根を焼くこと火のごとくして、悪を増し、万の戒を破りて、地獄におつべし。「酒を取りて人に飲ませたる人、五百生が間、手なき者に生る」とこそ、仏は説き給ふなれ。

かくうとましと思ふものなれど、おのづから捨てがたき折もあるべし。月の夜、雪の朝、花の本にても、心長閑に物語りして盃出したる、万の興をそふるわざなり。つれづれなる日、思ひの外に友の入りきて、とりおこなひたるも、心なぐさむ。なれなれしからぬあたりの御簾の中より御果物・御酒など、よきやうなる気はひしてさし出されたる、いとよし。冬、狭き所にて、火にて物煎りなどして、隔てなきどちさし向ひて、多く飲みたる、いとをかし。旅の仮屋、野山などにて、「御肴がな」など言ひて、芝の上にて飲みたるもをかし。いたういたむ人の、強ひられて少し飲みたるも、いとよし。よき人の、とりわきて、「今ひとつ、上少なし」など、のたまはせたるもうれし。近づきまほしき人の、上戸にてひしひしと馴れぬる、又うれし。

さはいへど、上戸はをかしく、罪ゆるさるる者なり。酔ひ草臥れて朝寝したる所を、主の引き開けたるに、まどひて、ほれたる顔ながら、細き髻
さし出し、物も着あへず抱き持ち、ひきしろひて逃ぐる、かいとり姿の後手、毛生ひたる細脛のほど、をかしく、つきづきし。

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